好きになっても、いいですか?
「これは……」
それは麗華から預かった辞表。
だけど、自分はこんなところに置いたりなどしていない。
純一は乱暴に封書から中身取り出して、はやる気持ちで文字を目で追う。
【この度一身上の都合により、退職したく、ここにお願い申しあげます。
第一秘書課 芹沢麻子】
それは一度確認したときと変わらない文だった。
しかし、その後ろにまた一文、新たなものを発見した。
【お借りしてます手術費用は、必ずお返しいたします】
「――――くそっ」
くしゃっとその辞表を握ると、純一はすぐにスーツを身に纏い、マンションを出て車に乗り込んだ。