好きになっても、いいですか?
02
オフィスに着くと、足早に社長室へと向かう。
キーを解錠して勢いよくドアを開けると、自分のデスクはちらりと見るだけで真っ直ぐに隣接している秘書室へと入る。
純一は麻子のデスクを見た。
「何もかわってない、か――」
普段から整頓してあるデスクは、恐らく昨日と同じまま。
いけないとわかっていたが、純一は引き出しを引いてみた。
引き出しの中も整頓されていて、麻子の私物がいくつか入っているが、どれも取りに戻ってくるほどの重要なものではない。
その時、秘書室のドアがノックされた。
(誰だ?敦志じゃない、恐らく麻子でもない――)
純一は顔をしかめたまま、ガチャッと乱暴にドアを開けた。