好きになっても、いいですか?

「あ……?!しゃ、社長!!?」


そこに立っていたのは、作業着を着ている清掃員の男だった。


「……何の用だ」
「あ……は!す、すみません、まさか社長がいらっしゃるとは」
「いいから、早く用事を言え」
「は、はい!これを」


その清掃員が差し出した手の中にあるのは、今まさに純一が探している人物……麻子の顔写真が載っているIDカードだった。


「?!」


純一はそれを奪い取るようにすると、もう一度それが本当に麻子のものかどうかを確認する。

そして、それが紛れもなく麻子本人のものだと確信して清掃員を問い詰めた。


「これはどうしたッ?!どこで手に入れた?!」
「あっ、あの、今朝早くに……玄関先でお嬢ちゃん本人から預かって。早乙女氏に、と」
「本人から?!」
「はい。なんでも急なことだったみたいで、時間がないとかなんとか……」


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