好きになっても、いいですか?
「芹沢さん……?」
眼鏡のない敦志は、IDカードを近くに持ってきて目を細めると、その写真を確認した。
純一がいつの間にか立ちあがって、エレベーターのボタンを乱暴に押した。
そして敦志に近づいてそのIDカードを奪い取った。
「まさか、芹沢さん本当に――」
「とにかくアイツを捕まえる。話はそのあとだ」
そして、やっときたエレベーターに純一が乗り込むと、するりと敦志もそれに飛び乗って二人は一気に降下した。
エレベーターの中で、敦志は純一の様子を見て悟った。
「……純一くん、彼女と――」
ポーン、とその時音が鳴って扉が開いた。
同時に純一は、敦志の言葉など耳も貸さずに飛び出した。