好きになっても、いいですか?
「こんなことは簡単に調査できる」
「調、査……?」


麻子も表情を崩さないタイプの人間だが、純一もまたそうだった。
彼の場合は、仮に笑顔を作っていたとしても裏が読み取れない――――。

そんな純一は、その仮面をかぶったまま麻子に言う。


「別に難しいことは要求しない。――――秘書課に入れ」
「だからそれは……」
「君の父親は、すぐにでも手術が必要だとか」
「!?」


純一は、無言で敦志を見て数枚の報告書を受け取った。
麻子は目を見開いて、純一の顔とその書類に視線を交互に移す。


「手術費用は約150万。その他通院、リハビリが必要。そして家族は君一人。おそらくそのための費用は――」
「なにが言いたいの!?」
「その費用、全て出してやってもいい。君の返事次第だ」


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