好きになっても、いいですか?
ピッと解錠をして社長室に入る3人は、それぞれ無言だった。
そんな中、口を開いたのは敦志。
「社長、まず携帯に連絡を」
「……恐らく繋がらないか、出ないだろう」
「まさか本当に辞めてしまうなんて!」
「……お前は知っていたんじゃないのか?」
純一の脳裏には麗華の言っていたことが引っかかっていた。
敦志と特別な関係があるのかもしれない、と。
昨夜のことがあったとて、純一にそこまでの自信がなかった。
今、自分の隣に麻子の姿がないのだから――。
「いや……この間、少しそんなことを相談されただけで……」
「本当か?」
「何が言いたいの、純一くん」
「……」
その後は何も言葉を続けない純一に、敦志は雪乃に視線を移しながら眼鏡を外して言った。
「純一くんは、一体どうするつもりなんだ?彼女と、芹沢さんを」