好きになっても、いいですか?

ガチャッと、なんの前触れもなく開かれたドアに、目を丸くして見ているのは中川だ。


「――社長……!」

その姿が、年下とはいえ、社長だと認識すると慌てて席を立ち純一らを凝視する。


「なにか、ミスでも――……?」


中川が問いかける途中に、純一は中川との距離を詰め胸ぐらを思い切り掴んだ。


「なっ……」
「――ミス?ああ、俺の最大のミスだ。お前をここに置いていた、俺のな!」


そうして力任せにその胸ぐらを掴んだ手を押しやると、中川がよろけながらも純一を見た。


「――身に覚えがないとは言わせない」


純一の一言に、中川は思い当たる節があり過ぎてどう答えていいかわからないでいた。


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