好きになっても、いいですか?
「いただきます……」
麻子はそう言って、気乗りしないままに卵焼きに箸を付けた。
「うん。美味しいです」
「本当?」
「はい。本当です」
「もう!敬語使わなくていいのに」
そういう雪乃はとても嬉しそう。麻子の横で、両手を頬に添えて可愛らしく笑っていた。
「でも、彼の好みがわからないから。純一さんに確認しなくちゃ」
「……そうですね」
そっと箸を休めて、麻子は地面を一点見つめていた。
すると、雪乃が静かに口を開いた。
「あんな純一さん、初めて見ました」