好きになっても、いいですか?

その時、タイミングがいいのか悪いのか。鳴り響いたのは雪乃の携帯。


「あ……そうだわ。みんな麻子ちゃんを捜してるんだった」


目で、『いい?』と麻子に合図をすると、麻子は黙って頷いた。
そして、雪乃はその着信に出て話し始めた。


「もしもし。ああ、純一さん?」


雪乃は、すっと立ちあがって後ろを見て話を続けている。


「ええ。今は――会社の近くの……はい。麻子ちゃんと一緒です――」


雪乃がそう答えながら振り向いてベンチを見ると、そこには食べかけの弁当箱が蓋を閉められて置いてあるだけだった。


「麻子……ちゃん?」







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