好きになっても、いいですか?
(よし、次は15階)
ソツなく女子トイレを後にすると、軍手をはめたままエレベーターに乗り込み15階に向かう。
15階とは、このビルの最上階。
最上階と言えば、大抵お偉いさんがいるフロアで、麻子のような新入社員など下の人間は普段立ち入る用など到底ない。
しかし、麻子の場合は別だ。こうしてたまに足を踏み入れることもある。
“庶務”なのだから。
「ええと、どこかな……あ、あそこか」
15階の廊下の天井を見ながらきょろきょろと蛍光灯が切れている場所を探す。そこを見つけ当てると、周りに歩行者がいないか一応確かめ、脚立を開く。