好きになっても、いいですか?
(やめて。
この期に及んで、そんな瞳で、そんな声で、私を見つめて呼ばないで。
――本当に戻れなくなる)
「ゆ、きのさんが、いるのに……」
あんな優しい、可愛らしい人を傷つけてしまう。
いや、もう傷つけている。
(私はもう、何度も罪を犯してしまった――)
純一の目を一度も見ずに顔を逸らしていた麻子は、それが仇となり純一に手首を掴まれる。
そして一瞬で抱き寄せられると、不意打ちのキスが待っていた。
「やめ……っ」
(もう何度もこうやって、過ちを――……)
「これ以上、私を罪人にしないでっ……!」