好きになっても、いいですか?

ぽかんとして、麻子はただ純一の顔を見ていた。

そしてじょじょに、自分は彼女を傷つけた罪を背負う必要がなかった、と、心から安堵する。


「わかったか?」
「――え?あ、はい……」


なんとも間抜けな返答をする麻子に、純一がずいっと顔を近づけた。


「……散々俺を振り回して、このまま逃がすと思ってるのか」
「ふ、振り回すって……んっ!」


抗議しようとした麻子の唇は、呆気なく純一に塞がれた。
それは全てを奪われるような、熱いキス。


「……っふ、ちょ、待っ、あっ」


純一のそのぶつけられる想いに苦しくなって麻子は抵抗するが、純一の力には敵う訳もなく。
次第に頭で抵抗するだけで、心と体はそのまま純一の胸の中でその想いに応えるように、きゅっとシャツを握り締めた。


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