好きになっても、いいですか?
麻子はとりあえず第二秘書室へと向かった。
あの麗華のことだ。
こんな辞め方になったとはいえ、身辺整理は怠らないであろう。
麻子はそう思って秘書室の扉を開けた。
「……」
しかしそこはもぬけの殻で、麗華のデスクであろう場所は綺麗に整理整頓されていた。
そっと閉じてあるノートパソコンを手で触れてみると、未だに熱を持っていたことに気付いて麻子はすぐに秘書室を後にする。
「まだ、間に合うかも……!」
そうして、来ないエレベーターを待ち切れずに階段を駆け下りる。
息を上げながらオフィスの外に出ると、既に出社時間は過ぎている静かな道に、麗華の後ろ姿を見つけた。
「まっ……て!!!」
その声に驚いた顔をして振り向く麗華の元に麻子は駆け寄った。