好きになっても、いいですか?
口元には笑みを、しかし、目からはポロっと涙を溢して麗華は続けた。
「……バカよ。本当……ぶつかって行く相手が違ってた。あなたに何をしたって意味のないことなのに、嫉妬心だけが膨らんで。挙句に、後輩にあんな形で裏切られるなんて……!」
手を震わせてそういう麗華の目には、後悔の色しか見えなかった。
「宇野さん。社長のことが、好きなんですよね」
「!」
「――――私もです」
麻子は風に髪を靡かせながら、麗華に向かってはっきりと言う。
麗華はその言葉に初めは驚いて目を丸くするが、すぐに苦笑しながら答えた。
「知ってるわよ。あなた、それ、わざと?」
「……いえ」
少し間を置いて、再び麗華が沈黙を破った。
「相川美月が、あなたに見つかったらこんなんじゃ済まされないんでしょうね」
麻子に殴られた頬を触ってそういうと、麻子は少し言いづらそうに口を開いた。