好きになっても、いいですか?
*
(急がないと、早乙女さんに負担かけちゃう)
麻子は麗華と別れて、足早に15階社長室の前までやってきた。
ノックをしてドアを開けて貰うと、いつもは正面にすぐ見えるはずの純一が、一人の人物に遮られて見えなかった。
「麻子ちゃん!」
「え?あ……城崎様……」
名を呼ばれた雪乃は、ふわりとしたスカートを翻えし、それと同時に、下ろしている柔らかな髪も靡かせた。
大きな窓から差し込む光をバックにすると、彼女はお世辞ではなく、本当に天使のように見えた。
「色々と、誤解を招いてしまったようで、ごめんなさい!」
勢い良く手を握られるなり、そう言われて麻子は瞬きをした。
「もう遅いけど、私は純一さんの弟の廉次さんと結婚を約束しているんです」
藤堂廉次(とうどうれんじ)。
純一の弟で、出来は悪くないが純一が良すぎて霞んでしまう。
傘下のグループ会社にいたが、純一ほどカリスマ性は持ち合わせていなかった。
(急がないと、早乙女さんに負担かけちゃう)
麻子は麗華と別れて、足早に15階社長室の前までやってきた。
ノックをしてドアを開けて貰うと、いつもは正面にすぐ見えるはずの純一が、一人の人物に遮られて見えなかった。
「麻子ちゃん!」
「え?あ……城崎様……」
名を呼ばれた雪乃は、ふわりとしたスカートを翻えし、それと同時に、下ろしている柔らかな髪も靡かせた。
大きな窓から差し込む光をバックにすると、彼女はお世辞ではなく、本当に天使のように見えた。
「色々と、誤解を招いてしまったようで、ごめんなさい!」
勢い良く手を握られるなり、そう言われて麻子は瞬きをした。
「もう遅いけど、私は純一さんの弟の廉次さんと結婚を約束しているんです」
藤堂廉次(とうどうれんじ)。
純一の弟で、出来は悪くないが純一が良すぎて霞んでしまう。
傘下のグループ会社にいたが、純一ほどカリスマ性は持ち合わせていなかった。