好きになっても、いいですか?
「それと――」
グイッ、と腰をひかれた麻子の目の前には純一の顔があった。
麻子は早鐘を打つような心音と、言いようのない緊張と動悸に頬を染める。そして目を潤ませて、純一を見た。
「可愛げがなくても、俺には相当魅力的だ」
口元でそう囁かれると、そのまま唇を重ねる。
自然と目を閉じて、全神経を唇と、触れている個所全てに集中させて。
触れられている。
体温を感じる。
求められている。
そんなこと全てが麻子の胸を締め付けて、薄らと開く瞳に光の粒が浮かぶ。
「泣くほど、嫌か」
ふっ、と小さく笑いを溢して純一が聞いた。
「……嫌です」
麻子が短く答えると、今度は自分から背伸びをして純一との距離を縮めた。