好きになっても、いいですか?

「嫌ーー。そんなふうにされると、止まらなくなってしまうから……」


そんな麻子の行動と言動が、堪らなく愛しく思う純一は、さらに強く引き寄せて深く口づける。


「んんっ……」



(――――知らなかった。

愛しい人と、こうして唇を重ねる度に、涙が出そうになるなんて)


全部吸い取られるように、力も入らなくなって、立っているのもやっと。


だけど、心の力は無限に広がるようで。

あれほど過去の罪に苛まれていたものが、今は少しずつ、素直に前向きに考える力にもなって。

一人じゃない、と優しい安堵感を与えてくれる。

そんなふうに自分も何かを与えてあげたい。


そして願う。



心の底から、『キスをして』――――。





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