好きになっても、いいですか?
*
「御加減は?」
「ああ……まずまずです」
大きな花束をテーブルに置くと、静かに笑って横になっている克己を見下ろした。
「申し訳ありません。諸事情で社長は仕事がありまして……麻子さんも」
伏し目がちにそう説明するのは敦志だった。
「そう、ですか。……早乙女さん。麻子は変わったかな?」
「……そうですね。確かに変わったかもしれません」
「じゃあ、前に話をしていた“彼”も?」
「――――ええ」
克己と敦志は、鮮やかな花束に視線を向けたまま穏やかに口元を緩ませた。
「それはもう。“彼”は180度、人が変わったかのように」
ふっ、と息を漏らして笑いながら敦志は言う。
それに対して、克己が宙をぼんやりと見ながら目を細めて言った。
「ああ、でも。二人は“変わった”訳じゃなくて“戻った”のかもしれないな」
「……そうかもしれませんね」
*END*
「御加減は?」
「ああ……まずまずです」
大きな花束をテーブルに置くと、静かに笑って横になっている克己を見下ろした。
「申し訳ありません。諸事情で社長は仕事がありまして……麻子さんも」
伏し目がちにそう説明するのは敦志だった。
「そう、ですか。……早乙女さん。麻子は変わったかな?」
「……そうですね。確かに変わったかもしれません」
「じゃあ、前に話をしていた“彼”も?」
「――――ええ」
克己と敦志は、鮮やかな花束に視線を向けたまま穏やかに口元を緩ませた。
「それはもう。“彼”は180度、人が変わったかのように」
ふっ、と息を漏らして笑いながら敦志は言う。
それに対して、克己が宙をぼんやりと見ながら目を細めて言った。
「ああ、でも。二人は“変わった”訳じゃなくて“戻った”のかもしれないな」
「……そうかもしれませんね」
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