好きになっても、いいですか?
02
*
「――社長、失礼します」
隣接した部屋から、社長室に足を踏み入れたのは敦志。
「お待たせ致しました」
「ああ――……」
目の前の書類から、視線を上げるのが惜しそうにして純一は顔をあげる。
しかし、不覚にも書類内容を忘れてしまう程に、一瞬で目を奪われた。
元より秀でた顔立ちとその長身。昨日までは制服で、先程までは黒のリクルートスーツと、パッとしない身なりであったが今は違う。
身体のラインがわかる、女性らしいデザインのスーツ。その色が明るくなっただけで、こんなにも印象が違うものか。
一番は恐らく髪型。
かっちりとひとつに束ねられていたストレートの黒髪は、ふわりと後頭部にアップにされていて、より一層麻子の容姿を引き立てていた。
ただ美人でスタイルがいい女性であれば、純一の周りにはごまんと居て、飽きる程見てきた。
けれど、彼女がそれらと違うと感じる理由は、恐らくその強い内面から滲み出ている瞳――。
凛として真っ直ぐ前を見つめるその綺麗な黒い瞳。
そこには、“女”を武器にしているような女性達にはない力強さが感じられる。
「――社長、失礼します」
隣接した部屋から、社長室に足を踏み入れたのは敦志。
「お待たせ致しました」
「ああ――……」
目の前の書類から、視線を上げるのが惜しそうにして純一は顔をあげる。
しかし、不覚にも書類内容を忘れてしまう程に、一瞬で目を奪われた。
元より秀でた顔立ちとその長身。昨日までは制服で、先程までは黒のリクルートスーツと、パッとしない身なりであったが今は違う。
身体のラインがわかる、女性らしいデザインのスーツ。その色が明るくなっただけで、こんなにも印象が違うものか。
一番は恐らく髪型。
かっちりとひとつに束ねられていたストレートの黒髪は、ふわりと後頭部にアップにされていて、より一層麻子の容姿を引き立てていた。
ただ美人でスタイルがいい女性であれば、純一の周りにはごまんと居て、飽きる程見てきた。
けれど、彼女がそれらと違うと感じる理由は、恐らくその強い内面から滲み出ている瞳――。
凛として真っ直ぐ前を見つめるその綺麗な黒い瞳。
そこには、“女”を武器にしているような女性達にはない力強さが感じられる。