好きになっても、いいですか?

02



「おはようございます。昨夜はかなり残業されたんですか?」
「ああ、いや大丈夫だ」
「おはようございます」


純一と敦志が朝陽を浴びながら言葉を交わしていると、隣室から麻子が現れた。

今日の麻子は、昨日と違ってやや固い印象だ。
それは恐らく“見た目”の問題。
ブラックのスカートのスーツに、オフホワイトのシンプルなシャツ。そして長く黒い髪は、首もとで飾り気のないゴムで一本に束ねられているだけ。

それでも華やいで見えるのは、元々の顔立ちからなのか。それとも純一が特別視しているからとでもいうのか。


「差し出がましいかとは思ったのですが、これを」
「?」


またもや麻子の不可解な行動に、昨日に続き純一は明らかに動揺した目で麻子を見る。
同時に敦志も、なんだ?と思いながら、麻子の手にあるものに一点集中する。

今日はコンビニの袋ではない。
ライトブルーのその小さなバッグは、20センチ四方程度の大きさだろうか。
その底を両手で持って、麻子は純一に差し出している。



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