好きになっても、いいですか?
「失礼いたします」
ノックをして社長室へと入室する。
麻子は純一の姿を確認して、敦志の伝言を伝えた。
「わかった」
すると、その一言だけ返事をもらった麻子は、すぐにその場を去った。
その後はお茶を汲んで、応接室へと向かう。
敦志と土倉と言っていた男性が向かい合って、なにやら用件を話し合っているようだった。
その打ち合わせの邪魔をしないように、控えめに挨拶をして、お客様へとお茶を出した。
「ああ、どうも。あれ、見たことのない方ですね」
「彼女は最近配属された、芹沢です」
「芹沢と申します」
邪魔をしないようにと思っていたのに、結局話し合いに水を差してしまったようで麻子は恐縮し、笑顔で会釈をしてそそくさと退室した。