好きになっても、いいですか?
プルル、プルル、プルル。
(え!思った側から電話!)
電話のコール音に、麻子は再びどきりとした。が、一つ深呼吸をして、受話器を耳に充てた。
「はい、第一秘書課……え、泰恵さん?」
緊張して対応した相手が、あの庶務課の先輩であり母のような泰恵で、麻子は一気に気が抜けた。
つい数日前まで一緒にいて、お世話になっていたのが遠い日のことに感じられる。
「泰恵さん!どうしたんですか?内線なんて」
麻子は不思議に思いながらも、その懐かしい“母”の声に自然を笑顔が零れた。
だが―――。
「……え?何?泰恵さん、なんて言ったの?」