好きになっても、いいですか?
*
「お父さん……」
いつもと違う部屋に横たわっている父の手を握り、小さく呼んだ。
幸い入院中のことだったため、すぐに処置してもらうことが出来た克己は、とりあえずすぐに命に関わるということにはならずに済んだ。
しかし、再発は変わらずに付き纏う――。
その可能性を少しでも低くする手術。
医者にはやはりそれを勧められる。
一定の機械の規則音が淋しくも、どこかホッとさせた。
「諦めたくない。諦めない……」
早退してからずっと、麻子は父につきっきり。
未だに目を開けない父の傍に。
さすがにひっつきそうなくらいに喉が乾いた麻子は、足早に自動販売機に向かってコーヒーを一本手にすると、横の椅子に腰を掛けた。
時計を一度も見ていないが、辺りは真っ暗。
ナースステーションにも看護師が数人と、いつの間にか夜勤体制になるほどの時間になっていたらしい、と初めてそこで気が付いた。
「お父さん……」
いつもと違う部屋に横たわっている父の手を握り、小さく呼んだ。
幸い入院中のことだったため、すぐに処置してもらうことが出来た克己は、とりあえずすぐに命に関わるということにはならずに済んだ。
しかし、再発は変わらずに付き纏う――。
その可能性を少しでも低くする手術。
医者にはやはりそれを勧められる。
一定の機械の規則音が淋しくも、どこかホッとさせた。
「諦めたくない。諦めない……」
早退してからずっと、麻子は父につきっきり。
未だに目を開けない父の傍に。
さすがにひっつきそうなくらいに喉が乾いた麻子は、足早に自動販売機に向かってコーヒーを一本手にすると、横の椅子に腰を掛けた。
時計を一度も見ていないが、辺りは真っ暗。
ナースステーションにも看護師が数人と、いつの間にか夜勤体制になるほどの時間になっていたらしい、と初めてそこで気が付いた。