家政婦のメイド派遣します！
「ちょ、ちょっと待って。」

話は終わったとばかりに打ち合わせを開始しようとした２人に向かって桃子は慌てて割って入る。

「何言ってるの？社長と副社長だよ？時間あるわけないでしょ。」

「桃子の仕事の時間以外で俺達が仕事すればいいだけじゃん。」

直樹が当然のことのように言うと隣で祐樹も頷いている。

「桃子に今度こそ変なゴミがつかないかと心配しているよりよっぽど仕事が進みます。」

今度は祐樹が言った。

「でも、取引先の方との打ち合わせとか入っているだろうし……。」

「ああ、忘れていました。明日から暫くはすべてキャンセルしないと。」

秘書の松本に内線で指示をしようとする祐樹の手を桃子が間一髪で止めた。

「それこそ駄目です。」

「じゃあ、メイドやめてくれますか？」

立派な脅しである。

この２人は自分の価値を十分に知っていてその上で一番効果のある使い方をして
くるのだ。

だからと言って今回ばかりは桃子も引けなかった。

「無理……。」

彼女の押し殺すように吐き出された声に２人は小さくため気を吐いた。

「じゃあ、明日は私達も……。」





「２人は……無理。」





こうして桃子の派遣にはとてつもなく高級な執事が１人、同行する事になった。
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