白の森
大きめの桶の中にナイフを置き、その中にお湯を注いだ。

「何してる?」

「煮沸消毒。熱でナイフを消毒してるの」

女は頃合いを見て自分の手にアルコールをかけてからお湯の中からナイフを取り出した。

「行くよ。あなた、動かないように押さえてて」

「何でオレが」

「動いて別の組織に気付けたら大変だから」

早くしろと言う女の目に耐え兼ねてアッシュはスタンの肩を押さえつけた。


女は怯えることもなくナイフでスタンの手を切り開いた。

出血を布で押さえながら刺を探す。

痛みにスタンは動くが、アッシュは必死に押さえ付ける。

スタンが苦しむところなど見たくないと目をつむり耐える。

「終わったよ。もう離しても大丈夫」
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