白の森
「言葉の裏には千の偽り。おばあちゃんが言ってた。本当だった」

「だからおばあちゃん以外の言葉は信じない」

ステラは叫んでいるようだった。

「守る。この森の平穏を」
守る。女が口にする言葉じゃないと思っていた物を口にしたステラの表情は本気だった。

「人の命よりもてめぇの住み処の方が大事だってか?」

「それは貴方たちが町の人間だから。私には関係ない。私にとっては森のみんなが大事」

ステラは早く決めろとまくし立てる。

「分かった。オレが残る」

スタンが決心したように前に出た。

「スタンさん!こんな女の言いなりになることなんてねぇ!こいつは人殺しかも知れないんだ」

森の魔物の正体がこの女なら、女を捕まえれば全てが片付く。

「何でも言うことを聞くと言ったのはこっちだ。それに命の恩人だ。裏切ることは出来ないだろ」
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