白の森
しかし、大熊はアッシュが放った枝を腕で薙ぎ払った。

タイミングの問題だろうが、アッシュの動きを見切ったように思え、彼は出鼻をくじかれた思いだった。

大熊のターゲットは、アッシュに移った。巨体をゆっくりと動かし、アッシュを見た。

口から白い湯気が上がる。低い唸り声をあげている。
「スタンさん、あんたは逃げてくれ!オレが引き受ける」

「駄目だ!二人で帰るんだ」

こんな所でスタンを失う訳にはいかない。彼には、いずれこの国のトップに立ってもらわなくてはならない。

そして、理想の国を誰もが飢えることも、苦しむこともない、平和な国にしてもらわなくてはならない。

スタンだけは命に変えても生きていてもらわなくてはならない。
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