白の森
「って」

額に何か硬いものが叩きつけられる。

「シャーリィー？」

ティアの驚いた声にアッシュは身体を起こした。

ティアの掌に小さな白いリスが、胡桃を持って座っていた。

「リス？ってか、オレの額に胡桃を叩きつけたのか？」

少し痛む額を擦りながらアッシュはリスに顔を寄せる。

「この子はシャーリィー」

可愛いでしょ。とティアは笑うがどうにも自分には敵意をむいているように見えるのは気のせいだろうか？

「みんなお前が好きなんだな」

「同じだから。みんな白い毛と赤い目を持ってる。みんな弱いからと追いやられたの」

「ティア」

「私もオーフェンに助けてもらえなかったら死んでた」

ここではみんな生きるために手を繋いでいる。生きるために手段は選んでいられないから。

そうティアが言い切った瞬間、二人の間に何かが落ちてきた。

「っ！」

アッシュは思わず、後に下がってしまった。

目の前には、兎の死骸が落ちていた。

これが落ちてきたんだ。


< 80 / 130 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop