白の森
「アッシュ」
またティアが部屋を訪れた。
「一人にしておいてくれないか?」
「あの人が心配?」
ティアが言った言葉に思わず反応してしまった。扉の向うの彼女には見えていないだろうが、自分はスタンの名前に反応を返してしまった。
「あの人のことが知りたいなら出てきて・・・。ご飯食べて」
本当に魔女の誘惑だ。スタンのことを引き換えに出てこいなんて。
けど、ティアは今まで嘘を付いたことがない。
何をどうするかは分からないが、ティアは自分にスタンの安否を見せてくれるという。
もう魔術でも何でも良いから。スタンの姿を見たいと思った。
扉の鍵をゆっくりと開けた。
「本当にスタンさんの無事が分かるのか?」
ティアの表情は出会った時の様に、感情が表に出ていない。
アッシュを見る赤い目はどこか遠くを見ている。
自分がこんな顔をさせているのだろうけど、胸が痛んだ。
「こっち」
ティアは地下室に自分を案内した。
ここに閉じ込められるのかと警戒していたが、それは杞憂に終わった。
案内された一室。そこにはテーブルが一つだけあって、一枚の鏡が置かれていた。美しい装飾をされた手鏡。
「これは?」
「それを覗いて。あの人のことを思い浮かべながら」
言われたとおり、スタンのことを思い浮かべながら鏡を覗くと自分の顔が次第にスタンの顔を映し出した。
「っ!」
驚いて顔を離してティアの顔を見るとティアは入り口の側に立ってアッシュを見ていた。
「それは心に思い描いた人を写す鏡って、おばあちゃんが言ってた。生きている人だけだけど」
半信半疑ながらももう一度、鏡を覗き込んだ。鏡の中のアッシュは元気そうだ。
怪我も癒えた様に、動き回っていた。
本当なら自分もあそこにいたはずなのに
またティアが部屋を訪れた。
「一人にしておいてくれないか?」
「あの人が心配?」
ティアが言った言葉に思わず反応してしまった。扉の向うの彼女には見えていないだろうが、自分はスタンの名前に反応を返してしまった。
「あの人のことが知りたいなら出てきて・・・。ご飯食べて」
本当に魔女の誘惑だ。スタンのことを引き換えに出てこいなんて。
けど、ティアは今まで嘘を付いたことがない。
何をどうするかは分からないが、ティアは自分にスタンの安否を見せてくれるという。
もう魔術でも何でも良いから。スタンの姿を見たいと思った。
扉の鍵をゆっくりと開けた。
「本当にスタンさんの無事が分かるのか?」
ティアの表情は出会った時の様に、感情が表に出ていない。
アッシュを見る赤い目はどこか遠くを見ている。
自分がこんな顔をさせているのだろうけど、胸が痛んだ。
「こっち」
ティアは地下室に自分を案内した。
ここに閉じ込められるのかと警戒していたが、それは杞憂に終わった。
案内された一室。そこにはテーブルが一つだけあって、一枚の鏡が置かれていた。美しい装飾をされた手鏡。
「これは?」
「それを覗いて。あの人のことを思い浮かべながら」
言われたとおり、スタンのことを思い浮かべながら鏡を覗くと自分の顔が次第にスタンの顔を映し出した。
「っ!」
驚いて顔を離してティアの顔を見るとティアは入り口の側に立ってアッシュを見ていた。
「それは心に思い描いた人を写す鏡って、おばあちゃんが言ってた。生きている人だけだけど」
半信半疑ながらももう一度、鏡を覗き込んだ。鏡の中のアッシュは元気そうだ。
怪我も癒えた様に、動き回っていた。
本当なら自分もあそこにいたはずなのに