テレビの中の、人。
3
「とりあえず、タイチ起こさなきゃ。」
「タイチ!起きろよ!」
「ん?・・・あぁ・・・」
「何?もう終わり?早くね?」
「二時間くらい寝てたよ。」
ミズキが笑った。
「もう、閉店ですので~。」
ママの声に急かされ、
「どうする?!」
焦った。
「とりあえず、店の外で待ってるよ。」
タイチの言葉に安堵した。
これで、バイバイじゃないー。
あたしらは、急いで、私服に着替え、
外に出た。
社交会館の前の、ガードレールに腰かけてる二人を見つけ、
駆け寄った。
二人は深々と、帽子をかぶってた。
時計は、午前4時をさしていた。
季節がら、もうすぐ明るくなる。
どうするか、あれこれ話したが・・・、
「ミズキちゃんち行こうよ。」
タイチが言う。
ミズキは、実家に住んでいる。
「じゃあ、りえちゃんち行こうよ。」
「まあ、いいけど・・・。」
ほんとは、嬉しかった・・・。
男が、
ましてや芸能人が、
帰らない・・・。
その時点で、だいたい答えは決まってる。
もっと一緒にいるということは、
それなりに、気があったんだよね、きっと、
この時すでに・・・。
「いいの?」
タイチが言う。
「タイチ・・・、りえちゃんに悪いからさ・・・」
サックンらしい言葉。
「あ、あたしは全然かまわないよ!」
「じゃ、お言葉に甘えて♪」
タイチらしい一言。
あたしは、サックンと一緒にいれる、
あのサックンが、うちにくる・・・!
そんな信じられない喜びを胸に、
だけど、悟られないように、
家に向かって歩いた。
サックンの隣りに並んで・・・。
腕が、触れそうな、距離でー。