テレビの中の、人。
2
「おはよ!ミズキ」
午後8時、店に着いた。
「おはよ!」
「あれ?今日ユージと同伴だっけ?」
「うぃーす。」
ミズキの客のユージ。
「ねぇ、りえ!」「なに?」
「タイチから、連絡あった。」
「マジで?!」
声を潜めて話した。
「また?!、3回目じゃん!」「うん!」
いいなぁ…。
そう思った。
あたしは、ときたら、
まだ1度もない。
内容は、
他愛もない話らしい。
長話しではないけど、
(また、金沢行くからね、会おうね。)
・・・、って。
「さすが、付き合ってるのと、あたしのこの状態のとでは違うよね。」
「そんなことないよ!きっとそのうちかかってくる!」
「ミズキ、何話してんの?」
「ああ、ごめんごめん、何でもない。」
ユージに水割りを作った。
あたしは・・・、
「街宣でも行こうかな。」
「ガイセン?おっけー!行ってらっしゃい♪」
街宣、とは。
ビルの前に立ち、通行人に店の名刺を配り、
客引きすること。
ミズキは客についてるし、
今日はアラキも来ないし、
営業の電話するのもメンドクサイ。
「マミ、ガイセン行く?」
マミを誘って、エレベーターに乗った。