テレビの中の、人。

6


翌日、

悪い予感は的中した。

体温計の数値が、『38・1゚』を表した。

「やっぱり・・・。」


昨日の海水浴の時のだるさ、

熱が出るかな?って、

自分の体だから、よく分かる。


だけど今日は、

サックンたちのルミネの出番の、

大事な日。


しかも土曜日。

店は忙しい、ママも休むことを渋る。


あたしはとにかく、

薬を飲み、栄養剤を飲み、

何としてでも、ルミネに行く気でいた。


出番は、夕方4時。

体は辛くても、

恋する気持ちは、

超越したパワーを出す、魔法。



ルミネに行く準備をした。



ミズキとルミネ前で待ち合わせた。

「おはよ!」

「おはよ!やっと二人に会えるね!」


ミズキは嬉しそう。


「あれ?」


「なんか、ちがくね?顔」


「分かる?」


顔が、真っ赤なのが、

自分でも分かる。

目も虚ろでフラフラする。



「ちょっと大丈夫?!」

「大丈夫、大丈夫、・・・薬飲んだし。」




あたしは何としてでも、サックンに会いたかった。

辛い体で、観客席に座った。



ビタミンKの出番になり、

3人が登場する。

他のファンの子達がどよめく。


あたしは、

久々に見るサックンに、見入ってた。


もうろうとする、意識の中ー。



出待ちしてた。

前よりも、だんだん

ビタミンK目当てのファンが、増えてきたみたい。



しゃがみ込み、


「ちょっと、ほんと大丈夫!?りえ・・・!」

ミズキの言葉に、

「だあいじょうぶ・・・。」



顔を上げた。


その時、

ビタミンKが出てきた。



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