テレビの中の、人。
遠距離恋愛
「おはようごさいま~す。」
みんなが、見る。
あたしが倒れたあの日以来、
はじめて店に出勤した。
マミがツカツカと、駆け寄ってくる。
「りえさん、付き合ってんですか?!サックンと!」
「・・・!、何?付き合ってないよ。」
みんなの目つきも、いつもと違う。
「何?、なんなの?・・・。」
「付き合ってないよ!何言ってんの?!何も知らないクセに勝手に想像して言わないで!」
ミズキがあたしの前に立ち、言った。
マミも、体裁悪そうに去る。
「何?どうなってんの?」
ミズキに、一部始終を聞く。
サックンが、あたしのオサワリにキレたこと。
倒れた時、連れて帰ったこと。
・・・、確かに、誤解されて当然。
「どうしよう、ミズキ・・・。サックンに迷惑がかかる。」
「大丈夫だよ!シラを切るしかない!」
付き合うことになるなんて、思ってなかったから・・・、
油断してた。
もっと、警戒すべきだった。
今更、遅いけど・・・。
(もう、店には呼べないな・・・。)
そう、思った。
少しして、
客足も増えて来る頃、すっかり店はいつもの雰囲気に戻った。
裏で、ミズキと休みながら、
タイチとの状況を聞いた。
「!!・・・マジか!・・・。」
「エヘヘ~。」
あたしが倒れたあの日、
二人で落ち合い、ホテルに行き、
初めて「H」したらしい。
「とうとうね~♪」
あたしは含み笑いをした。
「・・・・・。」
「ミズキ・・・、これからは、お互い店には呼ばず、隠れて会おう。」
「・・・そだね。」
公にはできない恋が、始まっていたー・・・