テレビの中の、人。
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それからは、
ルミネで、ビタミンKの出演があるたび、
あたしとミズキはお互いに、
それぞれ隠れて密会してた。
あたしらは、念のため
入待ち、出待ちはしないでいた。
こうして、付き合いだして
3ヶ月くらいたった頃ー、
あの、『ボキャブラ天国』が始まった。
十数年前に、一斉風靡した、
若手芸人が多数出演する、バラエティー番組。
ビタミンKも、ちらほら『ボキャ天』に
出演するようになった。
あたしは、その日
久々の、ビタミンKルミネ出演に、ワクワクしてた。
ルミネにくれば、
サックンが、金沢にくれば・・・、会える!
劇場で、ミズキと二人、ソワソワしながら、
出番を待った。
「もうすぐだね!」 「うん!」
ーどうも~!こんにちは~!
ビタミンKで~す!
キャーーー!!!
すごい歓声が、上がる。
数ヵ月前に比べ、確実にファンは増えてる。
日に日に、あっという間に増える、ファンの数。
あたしらは、正直・・・
嬉しさよりも、寂しさのが大きかった。
どんどん、遠くなるような、不安ー。
出番が終わり、
しばらくして、サックンと連絡を取り合う。
「久しぶり!よかったよ!さっきのネタ。」
「ありがとね!・・・、りえちゃん、久しぶりだね。」
「会いたかったよ。」
あたしは、その言葉だけで、
何もかも救われる。
ずっと、会えない日々が続いても、
日に日に増えてくファンが、怖くても・・・。
「うん!あたしも・・・、会いたかった!・・・」
それから、時間を合わせて、
あたしのマンションで会おうと約束した。
1ヶ月ぶりの再会・・・。
遠距離恋愛と、分かっていても、
一般人とは違うこと、分かっていても、
会えない日々が辛すぎて、
くじけそうになる日もある。
あたしは、部屋で
約束の時間を待ちわびた。
この時は・・・、
これが、この部屋で会う、
最後の夜になるということも、知らずに・・・。