テレビの中の、人。

2



ピンポーン


(サックンだ!)



「サックン!」

思いっきりドアを開ける。


「りえちゃん!」


アハハ!!ー

あたしは思い切り、サックンに抱きついた。



「遅くなってごめんよ。」

「ううん!全然だよ!会えて嬉しい!」




二人で、

久々の再会を祝った。

会えなかった時の出来事、

他愛もない日常の話し、


ずっと、ずっと、話し合ってた。



「りえちゃん、・・・実は。」

「何?」



「今日で、ルミネ、最後なんだ。」


!!!ー


「さっき、急に決まった。それで、遅くなった・・・。」


「なんで?!」




『ボキャ天』をきっかけに、

色んな方面で、番組出演が決まったこと、

それで、地方回りの劇場には

なかなか出れなくなったこと・・・



「それに・・・、」

「・・・なに?・・・」




「ボキャ天の、レギュラーが、決定した。」




!!!ー




「うそ?!・・・、そうなの?!、お、おめでとう!」


「ありがとうね!めちゃくちゃ嬉しくてさ!」


「そうだよね!」





あたしは・・・、

心の中では、

(おめでとう)なんて、言ってなかった。


言えなかった・・・。





いやな予感、みたいなものが、走ったー・・・




サックンの喜ぶ顔を見ながら、

複雑だった。


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