テレビの中の、人。
テレビの中の、人。
若手芸人が、売れ出すと、
あっという間。
みるみるうちに、名が知られて、
今が旬の芸人とばかりに、
あちこちのテレビ局で、引っ張りだこになる。
ミズキと二人で、
『ボキャ天』を見てた。
「なんか、変わったね、あの二人・・・。」
「垢抜けたね。」
「売れ出すと、人まで、変わるんかね・・・。」
「・・・・・。」
「ね。」
あのルミネに来た日以来、会ってない。
もう、2ヶ月くらいになる。
「ミズキ、店行こっか。」
「ごめん、あたし今日休む。」
「またあ?・・・恋煩い?。分かるけどさあ・・・。」
「ごめん、無理。体しんどい。」
ミズキは最近、体調不良で休んでる。
ふと、ミズキが、飾り棚に目をやった。
「何これ?!」
「え?イヒヒ♪」
棚の奥に飾ってある、
サックンの「サイン」。
「あの日、ルミネ最後の日に、書いてもらったんだあ。」
「今更サインでもないでしょ?」
そう。
今更サインでもない・・・。
だけど、変な胸騒ぎがして怖くて、
サインなんかもらったりした自分は、隠したかった。
「電話してる?」
ミズキが聞く。
「してるけど、なかなかタイミングが合わなくて・・・、繋がらないことが多いかな?」
「そっか。」
ミズキも、同じだった。
「じゃ、仕事行ってくるね!ゆっくり休んでなよ。」
そういうとあたしは、
部屋にミズキを残して、店に行った。