テレビの中の、人。
3
高岡の、ロケに来るまで、
あと一週間。
とりあえず、その時に、
タイチに言おう、という結論になった。
最後まで、ミズキは、
タイチの、今の立場を思い、
伝えることを渋っていた。
だけど、
こんな大事なこと・・・。
タイチの、
血を引く、子供が出来たのだ。
「大丈夫だよ!」
あたしは、ずっとミズキを慰め続けた。
翌週、金曜日・・・。
また、二人で、『ボキャ天』を見てた。
どんどん、腕をあげ、
ネタや、トークをしていく、ビタミンK。
「なあんか、すっかり・・・。」
「テレビの中の人だね・・・。」
二人で、ただ、
ボーゼンと見てた。
「明日、この人達に会うんだね。」
「なあんか、・・・これが付き合ってる、って言えるのかな?」
ミズキが言う。
「この人と、キスとかエッチとかしてたって、・・・信じられない。」
「ミズキ・・・。」
「このお腹にいる子は・・・、この人の子?」
芸人と・・・、
芸能人と付き合うとは、
こんなに苦しいものなのか・・・。
ネタが終わって、
トークの時間になった。
今日のトークコーナーには、
ビタミンK達が出る。
登場すると、番組観覧席から、
「キャー!!」
と、すごい歓声が上がった。
こうゆうのを見ると・・・、
余計、現実が身に染みる。
「すごいね・・・。」
「うん。」
あたしたちは、言葉少なめに喋ってた。
トークが進み、
司会者が、
「え~、ビタミンKは、結婚してるのタイチだけだよな?」
「・・・・・・・・・。」
「え?・・・・・・」
「りえ・・・・・・・。今、・・・・・なんて言った?・・・」