テレビの中の、人。
10
「もしもし!ミズキちゃん?!」
その慌てた声に、
3人で、顔を見合わした。
「・・・はい。」
「ミズキちゃん!子供ができたの?!」
「!!!・・・」
「・・・なんで?」
「サトシから聞いた!りえちゃんが、言ってたって!」
「・・・え?・・・。」
ミズキが、じっとあたしを見る。
「俺!認知するから!」
え?・・・・・・・・・
「認知するから!だから!・・・」
!!!ー
「・・・・・・・。」
3人で、見合ったままだった。
「・・・・・プッ!」
「ミズキちゃん?!」
「・・・ミズキ?・・・」
笑ったミズキを、見つめた。
「なにそれ?!・・・アハハ!」
「え?!だって、ミズキちゃん・・・。」
「奥さんいる人が、なに言ってんの?」
「ああ!ごめん!それは・・・・・!、言おうと思ってたんだ、ずっと!でも言えなくて・・・!」
「奥さん、悲しんじゃうよ・・・。」
「でも、俺!・・・精一杯のことはするから!だから!・・・、普通の家庭とか、無理だけど!・・・でも!!」
「いないよ。」
「え?!」
「いないよ、子供なんて・・・。」
「・・・ミズキちゃん?・・・」
「子供なんて、いるわけないじゃん。・・・それ、タイチもサトシも、聞き間違えだよ、きっと。」
「ミズキちゃん・・・・、そ、そうなの?!」
「そうだよ。」
「だから、もうあたしのことはほっといて。」
「・・・奥さん、・・・大事にしてあげて。」
「奥さんいる人とは、付き合えない。・・・だから・・・。」
「タイチとは、終わり!」
「別れよう!・・・。」
「ミズキちゃん・・・!ごめん!俺・・・!」
「・・・好きだったよ!タイチ・・・。」
「・・・大好きだった・・・。」
「ミズキちゃん!・・・」
「ありがとね!」
ーミズキは・・・、
とても、綺麗だった・・・。
潔く、
愛した男を思い、
愛した男のために・・・、
身を引いた。
そんなミズキが・・・、
とても、とても・・・
綺麗だった・・・。
「ミズキ・・・。」
「あたしには・・・、今の言葉で十分だよ。」
「今の、タイチの言葉で、・・・十分。」
ミズキの、気の済むまで・・・、
あたしの胸の中で、泣かせてあげた・・・。
ひとつの恋が、終わった夜ー・・・