テレビの中の、人。
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太ももが、当たった。
「サックン、東京とかにも、ファンの子いるんでしょ?」
「うちらみたいに、出待ちとか、してる子いる?」
「あぁ、何人かね。でも、まだまだ俺ら、名前も売れてないし。」
「これからだよ。」
「なんでお笑い、目指したの?」
「最初はタイチに誘われて・・・、養成所でリョウとあって、んでユニット組んだ。」
「だけど、根本、好きなんだと思う。」
「ネタとか考えるの好きだし、人に笑ってもらうの好きだから。」
クスッ。
「確かに、舞台上では、別人だよね。」
「変な格好とか、平気でするし、ギャグとか言うし」
あたしは、笑った。
こんな話しを聞けるのも、
「特別」に、感じた。
だけど・・・、
女には、興味がない感じに見えた。
少なくとも、タイチよりは。
「なんだか、不思議・・・。」
「?何が?・・・」
「だって、テレビに出てる人だよ。」
「そんな人と、普通に喋ってる。」
「別に・・・、普通だよ。同じ人間。」
「ただ・・・・・。」
「ただ?・・・・何?・・・・」
「立場上、誰とでも、こんなことできない。」
「こんな風に喋ったり、一緒に飲んだり。」
「一応、世間の目があるし・・・。」
「こんな風にできるのは、りえちゃんだけかな?」
!!!!!ー
あたしはその言葉に、
クラッと来た!
嬉しくて、嬉しくてー。
「え~・・・。」
その表情から、サックンも、ちょっと照れる。
「あぁ、なんていうか、・・・話し安いんだよね、りえちゃんて。」
「・・・それだけで、嬉しい!」
「あ~れ~?、お二人さん、いいムード。」
ミズキが、指名客のテーブルから、帰って来た。
「タイちゃん、寝てんじゃん!」
「そうだよ。」
ちょうど、3時の閉店時間が来た。
「サックン、もうお店終わり、どうする?」