ヒキコモリンコ
俺はしばらく眠っていた。
夢は見ない。
夢は、持っていないし。


「…く、周作。」


扉の前からお袋の声がする。ぼんやりしながら俺は答える。


「あぁ?」

「お昼ご飯、ここ置いとくわね…。」


時計を見ると午後0時。
そう言えば腹も減っている。


「おぅ。」


俺が短く答えると、お袋が静かに階段を降りていく音がした。
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