ヒキコモリンコ
俺は何とも言えずに曖昧に笑い、じいちゃんの洗濯物を抱えた。
「では私は失礼しますね。小森さん、お昼残しちゃダメですよ。」
じいちゃんの前には少し冷めた様子の昼食のトレーがあった。
「分かってるよ、直美ちゃん。」
じいちゃんは直美さんに手を振り、直美さんは会釈して部屋を出ていった。
「年寄りのくせに、若い女にデレデレしやがって。」
「年寄りだろうが男は女が好きなんだ、そりゃ仕方ねぇことだ。」
そう言って昼食を食べ始めた。箸の進みが遅い。食欲がないのだろうか。
そんな事を思いながら、俺は洗濯に向かった。洗濯機は共同だから、混んでいなければいいな。