ヒキコモリンコ

席に着いてうどんをすする俺と直美さん。


「周作くん、もう学校へは行かないの?」


直美さんには、大学をやめた事は話したが、理由は説明していない。

少しためらったけど、直美さんなら聞いてくれる気がして俺は口を開いた。


「俺……自信なくて。何も、出来ないから。」


情けないと思った。

こんなに頑張っている人の前で、
こんなに輝いている人の前で
自分をさらけ出すのは。


直美さんは、何てことないといった風ににっこりと笑った。


「みんな恐いんだよ。上手くいかなくて諦めた後は特にね。」

「俺、分からない。何もしたくなくてさ……。」


直美さんは油揚げをガブリとかじると、嬉しそうに味わった。


「健康な身体を持ってるんだから、何もしないと勿体ないよ。」
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