ヒキコモリンコ
お別れ
近頃、急に気温が下がった。もう厚手の上着なしでは外を歩けない。
俺がじいちゃんの付き添いを始めてから結構経つけれど、じいちゃんの退院のメドは立っていない。
時折発作的に咳を続けるじいちゃんに、俺は気が気がじゃなかった。
「周作、なんか楽しいことあったか?」
突然何を言い出すのだろう、この病人は。
「別にねぇよ。」
「直美ちゃんと仲良くなったらしいじゃねぇか。」
知ってたのか。
侮れねぇな。
「まぁ、少しな。」
するとじいちゃんはフンと鼻を鳴らした。