ヒキコモリンコ

まずお袋が駆け付け、すぐに親父と佳代もやって来た。

ゼイゼイと苦しそうなじいちゃんの口には酸素マスクがあてがわれている。

じいちゃんの苦しそうな息が、段々と弱まってゆく。

みんながじいちゃんを取り囲み、口々に呼び掛けるのを、俺は見ていた。


いつもは俺とじいちゃんしか居ない静かな病室。

なのに今はドクターと直美さん。親父にお袋、佳代が居る。騒がしい。


なぁ、みんな知ってるか?

夕焼けの日にはこの真っ白い部屋が、鮮やかな朱色に染まるってこと。

そしてソレは胸に染みるくらいに綺麗だってこと。
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