すべては君を救うため
暗黒魔神の訪れ
いつか聞いた旅人のお客様の話は頭の片隅へと追いやられ、平和ないつも通りの朝を迎えた。
…迎えたはずだった。
「あー…まぁーあー」
「何、カイン?」
カインはもうすぐで1歳を迎える。
だんだん言葉らしきものを発するようになってきて、夜泣きもだいぶ減った!
―パーッ パラパッパー♪
「え?トランペットの音?」
急に聴こえてきたのはトランペットの軽やかな演奏。
今日…何かの祭典だったかしら?
「キャス」
首を傾げていると、ダンが笑顔を浮かばせながら部屋に入ってきた。
「ダンどうしたの?凄く楽しそうじゃない」
「あぁ、ベランダに出てみればわかるぞ」
「ベランダ…?」
一体何の事だか検討もつかなかったけど、カインを抱いてベランダに出てみた。
「う…わぁ…!!」
「うきゃぁーっ♪」
そこには、王国楽団と王国中の人々、それにたくさんの屋台。
あまりにもたくさんの人が広場に集まっていた。
王国の至る所にはカラフルな風船とピンクのリボン。
「凄いだろう?今日は王女様の1歳の誕生日なんだそうだ」
「それでこんなにお祭り騒ぎなのね!」
そっか…王女様も今日で1歳って事は出産を控えたあの頃からもう1年が過ぎちゃってるんだ。
「キャス、俺らも今日は宿屋を閉めて、広場に行かないか?」
「賛成賛成!!」
ダンの提案で宿屋を閉める。
どうせ今日はお祭り騒ぎで誰も宿屋なんか利用しないだろうし!
「うー」
ちょっとぐずるカインにご飯をあげて、いざ広場へ出発!