恋飴
***


「まさか…神木黎斗があの人だったなんて……。」


新クラス1年A組の自分の席に座り、私は独り言を呟いていた。


普通はそんなことしないのだが、今日は衝撃が大きいからか現実を実感するのに抵抗があるみたいだ。



秀韻北高校は普通クラスと特進クラスに分けられていて、私は普通クラスだ。


その区別は胸元のバッチで判別される。


金色が特進クラス、
銀色が普通クラス。


あの桜並木の中では気づかなかったけど、神木黎斗は確かに金色のバッチをしていた。


普通クラスと特進クラスとでは学力差が大きい。


普通クラスのボーダーラインも高いが、特進クラスはまた上の上。





……そんな人に『まぬけ顔』と思われても当たり前なんだよね。



そう思っても、何故か神木黎斗のことが頭から離れなかった。













「おはよう」



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