恋飴


そのままの状態で沈黙が続く。




神木黎斗の手は私の頬から離れずたまに指を動かして撫でてくる。





さっきみたいに抵抗すればいいんだけど…

神木黎斗の目が手があまりにも優しくて…私はただ目を固くつぶってその奇妙な感触に耐えるしかなかった。









「手袋してなくても、平気なんだ?」







「…え?」







目を開けると先程は片手で撫でていた頬に空いている手を触れさせ、私の頬を両手で挟む神木黎斗がいた。







その手には変態グッズと私の中で認識してしまった手袋はない。








「覚えてる?
あんたさっき男子に触られて…というか近づかれただけで倒れたんだけど?」








「……。」








そうだ……。





私は美羽ちゃんとの下校中に美羽ちゃんの友達とみられる男子に接近されて……倒れた。







「お…覚えてますけど。」







「運んできたの俺。」









……なんとなくは
気づいてたけど。








男子に運ばれたということは屈辱的だし、それが神木黎斗だなんて最悪だけど…私の心は神木黎斗の両手がいつまでこの状態が続くのかということだけが気がかりだった。








「あ、ありがとう…ございます。」








「ん。」








一応お礼はしたけど…
状態は変わらない。








「あの……?」





「何か?」





「…いつまで続くのでしょうか?」






「気がすむまで。」






「気がすむまでとは…?」






「お礼、してくれんでしょ?」






「これが…お礼?」







「まぁ、もっとあるけど。」











はいっ!?






これでも精一杯なんですけどっ!!



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