探偵事務所は休業中

「……いいんですか?」

「いいッスよ。別に困りはしないんで」

「あ、ありがとうございます!!」

羽兎は勢いよく頭を下げる。
それを横目で見ていた霞はフッと笑った。
思わず顔を上げた羽兎も笑顔になる。

そして、彼女は何かを思い出したかのように手を叩き、霞に尋ねた。

「そう言えば霞さん、助手がいなくなって困ってたって言ってましたよね?」

「言いましたよ」

「何でいなくなっちゃったんですか?」

羽兎の問いに、彼はポッキーをくわえたまま遠い目をしながら答えた。

「……喧嘩したんスよ」

< 12 / 72 >

この作品をシェア

pagetop