探偵事務所は休業中

「だって……ほら、猫ちゃんの居場所が分かったんですよね?だったら探しに行かないと!」

「その必要は無いッスよ」

「何でですか?」

「幸い、ここの事務所も縄張り圏内に入っています。クロの好きなものを玄関先にでも置いておけば、簡単に捕獲できますよ」

「えー……」

兎が口を尖らせる。
霞はポッキーをくわえ、小さく伸びをした。

「ワトコ、最初に言いましたよね?ココは僕の事務所です。だから、僕のやり方に従ってもらうと」

「言いましたけど……」

「僕は行動派じゃないんスよ。安楽椅子探偵ッス。
相手からの情報だけで推理をし、答えを出す。
それが僕のやり方です」

「うぅ……」

「文句言ってないで、これを玄関先に置いてきてください」

そう言って霞は、マタタビの入ったビニール袋を羽兎に渡した。
そして、黒いヘッドホンを取り出し、耳に着けた。

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