探偵事務所は休業中

もう反論は聞かない。
そう言ったところだろう。

羽兎は唇をグッと噛み締め、玄関先へ向かった。
行動派の羽兎にとって、霞のやり方は肌に合わない。

彼女は玄関先にマタタビを置くと、そっと事務所を抜け出した。

「やっぱり探しに行かないと!霞さんには悪いけど、あんなので見付かるとは思わないし……」


外は日が落ち、色々な看板に電気が点いている。

猫は夜行性だ。
活発に動く今、見付けるのは容易いことじゃ無いだろう。

ここら辺の地図なら大体頭に入っている。
野性の勘で、猫の集会所など見付けられそうな気がする。

羽兎は半分の不安と期待を胸に、夜の街を歩き出した。

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